就職した先はブラック

私の始めての就職先は、町の電気屋さんでした。どこの地域に1店舗は有る地域密着型の電気屋さんで従業員は7人の小さな会社でした。そもそも、何故この会社に入社したのかと言うと、私は専門学校を卒業後に就職する事を決めていたのですが、当時は新卒と言う肩書きが、如何に貴重だったのか意識しておらず、何と無く早く終わって家から近い所に就職しようと思っていました。

就職と言う物を真剣に考えていなかった私は、そろそろ就職活動をやり始めないといけないなと思っていましたがなかなか行動を起こさずにいました。そんな折に、学校で企業説明会が開かれました。専門学校で行われる企業説明会は専門学校側から、私の様な、なかなか活動しない生徒を就職させる絶好の機会です。

私も例に漏れず先生方から、あの企業、この企業とどんどん受ける事を勧められました。先生方からのアドバイスを受けるも、当時のやる気が無い私には馬に念仏でした。何を言われても全然頭に入っては行きませんでした。私の頭の中は相変わらず早く終わって、家から近い所に就職したいなと言う、稚拙な思いでいっぱいでした。

そんな時に、企業説明会に来ている企業の情報を観ていると、就業時間は8時から17時、残業時間は月に10時間以下で、家から自転車で15分程で着く企業を見つけました。早速、企業説明会のブースに行き話を聞くと、あれよあれよと言う間にどんどん話が進んでいきます。就職試験を色々想像していた私には拍子抜けするほど簡単に採用になりました。

唯一あった就職試験の面接もフレンドリーな感じで簡単に通過しました。当時の私にどう考えても、何かおかしいと気付いて欲しいと思うのですが、当時は、自分が優秀だからだろうと言う愚かな思考で深く考えてはいませんでした。

就職が決まった。

そこで私の思考は停止しました。

あれよあれよと言う間に、月日は過ぎ去り学生時代は終わりを告げ、社会人として働き始める日がやって来ました。新社会人という何も知らない若者でも、初日に気付きました。これは、初めに聞いていた話と話が違う、という事に、この会社にはそもそもタイムカードが無く出社時間は8時と決まっているのですが、退社時間は全員の仕事が終わったら退社すると言うスタイルでしたので、定時は17時ですが、実際に退社するのは、社長の仕事が終わる21時や22時になります。

新卒社員が初日からと言うか退職する迄ですが、そんな時間迄やる業務は有りませんでした。入社したばかりの頃は、こんな事が日本で許されるのか労働基準局は何をやっているんだ?と思っていましたが、入社後半年もしたら慣れてきて何も感じなくなって行きました。

人間どんなに辛くても慣れて行く物なのだと学びました。

また、業務内容も家電製品の修理、修理相談と聞いていたのですが、当たり前ですが街の電気屋に修理を頼んだ所でメーカーに送って修理された物を届けると言う事しか出来ません。テスターで故障箇所を探してハンダやコンデンサーを交換したりするのかな?と思っていた、当時の自分は本当に何も分かっていなかったんだと思います。

そもそも、殆どの家電製品はメーカー保証が着いていて下手に手を出せば保証対象外になるので、誰も街の電気屋の小僧に保証を放棄して迄治るかどうか分からないのに修理をされたいと思う人はいないと思います。実際の私の業務内容は一軒、一軒の家を訪問し家電製品を訪問販売するという仕事でした。製品の値段の情報が広まるのが遅かった昔ならなんとかなったかもしれませんが、このインターネットの発達した時代にAmazonや大手家電量販店で売っている同じ物を高い価格で販売する事など殆ど不可能です。

業務内容、就業時間と裏切られ、このままではダメだと思い入社後1年で退職しました。これ以降就職する際には用心深く、よく質問し考えて応募するようになりました。"